2024年03月27日(水)
こんにちは、練馬区Lakke(ラッケ)同居ラボの薬剤師dohkyon🏠です。マスオ一級建築士の金内とともに、二世帯や同居、家族との暮らし方にまつわる情報をブログで発信しています。
二世帯住宅を検討し始めた時、「実際に住む前に試せたらいいのに・・・」と思ったことはありませんか。
今回は母親との二世帯暮らしにスポットを当て、部屋の間取りによってストレスの感じ方がどう変わるのかを家族で実験してみました。
母親と二世帯で暮らした時、家の間取りが住む人の気持ちにどのように影響するかを検証する
対 象:70代母2名、子世帯夫婦2名
検証期間:1週間、4か所に滞在
滞在条件:フランスのロワール地方からベルサイユをレンタカーで移動しながら、間取りに特徴がある宿泊施設に滞在する。母との二世帯を仮定した同居のため、朝夕の食事は施設内で自炊したものとする。
検証方法:宿泊後に対象者全員にアンケートを行う。得られた回答を、ストレスに感じたことや家族の気配を感じる安心感などを指標として%換算で算出する。
滞在地と滞在施設:
フランス オルレアン アパルトマン民泊1ユニット
ジャンヌ・ダルクが解放に成功した地として知られる街
アンボワーズ 歴史ある古城ホテル3部屋
レオナルド・ダ・ヴィンチが余生を過ごしたクロリュセ城が有名な街
Valesne 個人所有の古城をリノベーションした民泊3部屋
眠れる森の美女のモデルになったユッセ城にほど近い美しい村
ベルサイユ 戸建て住宅をリノベーションした民泊1棟借り
世界遺産ベルサイユ宮殿を有するパリ近郊の住宅街
入り口・リビング・キッチン共用 パブリックエリア
個室2(ベッドルーム1、ベッドルーム2+リビングのソファーベッド)
トイレ2+風呂シャワー1 パブリックエリア
▽ストレス度100% ★にぎやか度100%
「フランス初日だったけど、皆で同じ部屋だったので安心だった」
→ 親世帯は安心できる間取り
「誰からお風呂に入る?」「今洗面台は空いている?」
→ バスルームの順番待ちが発生
「リビングの電気をつけると他の部屋まで明るくなっちゃう」
→ 音だけじゃない、明るさもトラブルに
「広い部屋なのに、居場所がリビングテーブルしかない」
→ プライベートスペースをどう作るか
「個人の収納スペースが少なく、部屋が散らかる」
→ 物の置き場所を最初から決めておきたい
入り口 共用(古城の出入り口)・リビングキッチンスペースなし
個室2.5(ベッドルーム1+コネクティングサブルーム、ベッドルーム2)
トイレ3・風呂2.5 各ベッドルームに1つずつ、サブルームはシャワーのみ
▽ストレス度60% ★にぎやか度80%
「えっと、食べ物はどこに広げて食べる?」
→食事をともにする同居はどちらかのダイニングを広くする
「フランス2日目にして、個室のベッドでよく眠れた」
→共用と個人スペースを分けることが大切
「コネクティングルームでトイレが一つだと、夜中に気がねする」
→寝室近くにトイレが一つずつあると安心
「子世帯の寝室は寝る時以外ほとんど使わなかった」
→生活で最もよく使うくつろぎスペースを大きくとる
入り口 共用(古城入り口)・リビング・キッチン 共用
個室3(ベッドルーム1・ベッドルーム2・ベッドルーム3)
トイレ3・風呂3 各部屋に独立して1つずつ
▽ストレス度20% ★にぎやか度50%
「お洒落で静かな部屋で、ずっとここで暮らしたくなった」
→洗練と静けさは心のゆとりを生む
「ベッドの近くに猫足バスタブがあって、優雅に楽しめた」
→お風呂のグレードアップは自分へのごほうび
「キッチンで一緒に夕食を作れて、すごく良い思い出になった」
→たまには一緒に食事できるとベスト
「部屋が広くて一人だったので、少し寒く感じた」
→部屋は広ければくつろげるとも限らない
入り口 独立型・リビング なし(各部屋内にテーブル、ソファあり)
個室3(ベッドルーム1+ベッドルーム2:内部に階段あり、ベッドルーム3)
造作キッチン3・トイレ3・シャワー3 各部屋に独立して1つずつ
▽ストレス度5% ★にぎやか度10%
「時差ぼけで4時に起きたけどお風呂に入れた」
→完全分離は生活のリズムを保ちやすい
「それぞれ部屋に収納があって住むように暮らせた」
→収納スペースは家族ごとに分けて作りたい
「朝にはお兄ちゃんが呼びに来てくれるかな」
→親ひとりでは家族の気配が感じられる間取りに
「フランス最終日だけど、母は部屋でくつろげているかしら」
→交流が減ると気になることが増える
キッチン、リビング、風呂が別の完全分離型の一棟貸しの戸建てに滞在したDay4が、最もストレス度が低くなった。この結果は、 “二世帯で生活ペースを守って暮らすベストな間取り”は完全分離型であると言う事前の仮説通りであった。
一方で、Day4ではミュニケーションが極端に減り、一緒に過ごす楽しさを示すにぎやか度も最低になった。感想にもあるとおり、心配が大きくなり一緒に過ごしている感覚がなく寂しさを感じやすいと言った別の特徴を持っていることも分かった。
母との二世帯実験の結果の通り、二世帯住宅の間取りで単純に接点を減らしてしまうと、近くにいても遠く感じてしまうようになる。ストレスを減らすことを重視するのか、また楽しくにぎやかに暮らせることを優先するのかは、それぞれの家族に選択の自由があると言える。
二世帯住宅の間取りを考える時には、親世帯、子世帯それぞれの理想の暮らし方を吸い上げ、ストレス度とにぎやか度の最適なバランスをとる重要性が示唆された。
母親との二世帯を想定して1週間同居してみた今回の実験、結果は想像どおりでしたでしょうか。
もしあなたが「二世帯で暮らしてみようかな・・・」と思われた時は、1年後、5年後、10年後にどんな暮らし方をしたいのかをイメージするところから始めてみてくださいね。
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イ・ロ・ハ・二世帯 by Lakke
のべ400棟以上を設計、自身も20年以上同居するマスオ一級建築士が考える二世帯同居のヒントを掲載中