2024年02月19日(月)
こんにちは、練馬区Lakke(ラッケ)マスオ一級建築士の金内 浩之です。築年数が古い戸建てでは、特に寒さ・暑さを感じやすいですよね。
適切な断熱リフォーム工事をすると、エアコン代が1年で▲3.5万円節約できるとも言われています。今回は効率よく家の断熱性能を上げるためのポイントをお届けします。
日本では木造の一戸建てが古くから作られてきましたが、なぜ暑さ、寒さを感じやすいのでしょうか。
兼好法師の徒然草にもあるように、古くから日本の住居には「夏をむねとすべし」=夏を基準にして快適さを作っていきましょうという考え方が取り入れられています。
高温多湿な日本では、夏の湿度をどのように逃がすかが最優先の条件とされ、風通しの良い家屋にするのが長らく一般的でした。逆に冬の寒さは囲炉裏など、限定的な暖房でしのぐスタイルが確立されました。
風通しが良いからこそ、囲炉裏を使っても自然に換気がされ、床下や引戸からすき間風があっても許容されてきました。
ところが、現代の生活スタイルでは古い戸建てのすき間風は寒さや暑さを引き起こす悪者です。このすき間風=冷気や熱風を防ぐのが気密性をあげる、気密性向上リフォームです。
一方現代の生活に欠かせないエアコンを使う時、家のエネルギーが一番逃げてしまうのは窓まわりです。冬には58%もの熱が窓から逃げてしまい、逆に夏は73%の熱が入ってくると言われています。
この熱を遮断できるようにするのが、断熱性向上リフォームです。
省エネルギー庁のWebサイトより
家の断熱性能がアップすると、同じ条件でエアコンを稼働させた時の光熱費は一年でおよそ▲3.5万円節約できると言われています。(環境省の試算より引用)
また、部屋内部(特に浴室)の温度差をなくすことで、ヒートショック事故も予防することができます。
ヒートショック事故は急激な温度の変化によって血圧が激しく上下し、身体がダメージを受けることで意識障害などが起こります。
高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,750人で、交通事故より2倍も多い結果です。(厚生労働省人口動態統計:令和3年より引用)
最近では、若い人にもリスクがあると言われていますので、家族みんなの健康を守るためにも断熱対策が大切です。
環境省のWebサイトより
古い戸建ての省エネを考えた時、費用対効果が高いのが窓の断熱です。家のエネルギー損失が最も多い「窓」を最優先に対策することで、断熱性を効果的に上げることができます。
窓全体を断熱効率の高い複層ガラスタイプに交換する大規模な工事や、内側に窓を設置する短い工期で対策できる工事があります。
複層ガラスの窓は、図のような構造で外気をシャットダウンすることで、高い断熱効果を発揮します。
今使っている窓ガラスの中に内窓をつけることでも、断熱効果アップが期待できます。
省エネルギー庁のWebサイトより
古い戸建てのフルリフォームやリノベーション時には、断熱性と気密性の両方を高めるチャンスです。
床下、天井などの、家の外皮(外側)全体の断熱性を上げ、すき間風などをなくして気密性を保つためにも、家の外壁面の中にすきまなく断熱材をしっかりと埋めて対策していきます。
戸建てのフルリフォームやリノベーションを検討する時、限られた予算の中でどこまで断熱工事を行うのか。
場合によっては、床下や天井の断熱を優先し、窓には後で内窓をつけるというやり方もあります。
内窓の設置工事は、窓のサイズにもよりますが1か所6~10万円ほどです。
どの場所を優先して断熱工事をすれば良いかは、それぞれのお住まいによって最適解が異なりますので
建築士など信頼できるプロに一度相談してみてはいかがでしょうか。
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「マスオ建築士」同居歴は22年目に突入!
株式会社Lakke 金内浩之
一級建築士
宅地建物取引士
木造住宅診断士
住宅ローンアドバイザー
ファイナンシャルプランナー
相続診断士(一般社団法人 相続診断協会認定)
伝統再築士
将来同居するかもしれない未来のサザエさん・マスオさんへ
イ・ロ・ハ・二世帯 by Lakke
のべ400棟以上を設計、自身も20年以上同居するマスオ一級建築士が考える二世帯同居のヒントを掲載中