こんにちは、練馬区Lakke(ラッケ)マスオ建築士の金内 浩之です。お住まいのご自宅の中に、普段有効に使えていないなと感じるスペースはありませんか。真っ先に思い浮かぶのは、あまり使われることのない廊下かもしれません。築古のご実家を二世帯住宅にリノベーションするといったご相談を受ける時、「この廊下の壁をとってなくせませんか」というご質問がとても多いです。
そこで今回は、廊下を部屋に取り込んで広々リビングにしたビフォーアフター事例をお届けします。廊下や既存の壁をなくす時の注意点もあげていますので、参考になさってください。
新規バルコニーを囲むようにL型にLDK空間をレイアウトした事例です。
廊下をなくして2部屋を一つにすることで、見通しの良い21.3帖のLDKが誕生しました。
リビングの中心にはアイランドキッチンが印象的に置かれ、バルコニーを眺めながら大人数で料理できます。
既存の構造を考慮しながら、壁や梁の位置をレイアウトしロフトなどの余剰空間も活用しました。
事例の続きを見る:家づくりコンセプト「母も一緒、にぎやか実家同居リノベーション」
鉄骨構造で廊下を部屋にした間取りを採用し、キッチン、リビング、隣接する畳スペースが一続きでオープンな大空間を実現した事例です。
LDKにはキッチン収納とは別で腰高の収納壁を増設し、十分な収納量を確保しました。
廊下がなくなったことで、リビングから畳スペースも見渡せるようになりました。
事例の続きを見る:家づくりインタビュー「大家族6人1羽の二世帯 実家の間取り大改造!」
廊下をなくすことは、廊下の壁にある柱を取り除くことを意味します。その部分の柱やその上にある梁が、建物の構造上、どのように支えられているかを検討することが最も重要です。
例えば、2階建ての1階にある廊下の場合は、2階の部分から該当の壁や柱に重さがかかっているため、その影響を確認することが必須です。廊下や壁を取り除けるかどうかの判断については、まずは専門家である建築士がいる住宅会社へ相談しましょう。
廊下をなくせることが分かったら、次に確認したいのは冬の冷気がどのように流れていくかということです。広くなったリビングでは、夏の冷気が逃げる事よりも、冬のスーッと流れてくる寒さの方がストレスになります。
特に1階がリビングの場合は要注意で、1階の廊下をなくしてしまうと2階から寒い風がダイレクトに流れてくることになります。また、戸建てでは玄関先が冬にとても冷え込むので、玄関先とつながっている廊下をなくすことは避けておいた方が良いでしょう。
構造、冬の寒さがクリアできたら、いよいよ廊下をなくす間取りの本格的な検討に入ります。廊下の壁がなくなって広くなったリビングは、以前より音が響きやすくなる傾向があります。壁や床に防音材をしっかりと入れる、音が出る場所とくつろぐ場所をエリア分けするなど、防音の対策も施しましょう。
また忘れてはいけないのは、においへの配慮。壁を取り払ったリビングではキッチンの料理のにおいがダイレクトに部屋に流れてきます。今は性能の高い換気扇も多くありますので、排気効果の高い換気扇にしてにおいがこもらないようにすることも重要です。
最後に忘れてはいけないのが、プライバシーの確保です。廊下を部屋に取り込んだリビングは明るくて広々と過ごせますが、言い換えると見通しが良く、家族がどう動くかが良く見える場所になります。ソファーでくつろいだ時など、家族の視線がどこに向かうのかを予測して、それぞれの家族が自分の居場所を決められるように間取りを工夫していきます。
またリビングのトイレの位置も気をつけるポイントになります。トイレに入ったことがリビングから丸見えにならないよう、家族の導線に配慮して隠れたポジションにトイレが来るようにしましょう。
このような注意点を一つずつクリアしていけば、使っていない廊下をなくしつつ、安全で広々快適なリビングを実現することができます。家族がゆったりとくつろげる、広くて明るいリビングはそれだけで生活を豊かにします。皆さんのお住まいでも、ぜひ検討してみませんか。
「マスオ建築士」同居歴は22年目に突入!
株式会社Lakke 金内浩之
一級建築士
宅地建物取引士
木造住宅診断士
住宅ローンアドバイザー
ファイナンシャルプランナー
相続診断士(一般社団法人 相続診断協会認定)
伝統再築士
将来同居するかもしれない未来のサザエさん・マスオさんへ
イ・ロ・ハ・二世帯 by Lakke
のべ400棟以上を設計、自身も20年以上同居するマスオ一級建築士が考える二世帯同居のヒントを掲載中